私が衣装を作るときに個人的に一番大切にしているのは「イメージ」です。
パフォーマーや演出家が伝えようとする世界観の輪郭を際立たせ、
見る人にとってはその世界に入る入口の一つになります。
実際、舞台には衣装だけでなく、音楽や装置、台詞、
要であるパフォーマンスまで、導入の為の入口がたくさん用意されています。
今から始まる世界がどんな世界なのか、どこへ向かい、
どんな出会いがあって、何が起きるのか。
その中にあって、衣装は主体であるパフォーマーの、
もう一つの皮膚であり、同時に背景でもあり、音楽や台詞でもあります。
それは、音楽や台詞もまた衣装であるとも言えるし、
歌やダンス、動きの一つ一つもまた音楽であり、台詞であるからです。
これら全ての要素がクロスオーバーすると、
そこにある種の特別な魔法が生まれます。
ですからこの「イメージ」をパフォーマーや演出家と
共有するところから衣装作りが始まります。